退職勧奨とそれに対する対処法について

新型コロナウイルスにより会社の経営状態が2020年にかけて、かなり悪化して業務縮小のため退職勧奨をやる会社が増えています。
退職勧奨とは、その文字の通りで会社が従業員を退職させる為に辞めるように勧めてくる事を言います。
退職勧奨されても、最終的に会社を辞める事を決めるのはそれを勧告された労働者本人が判断できるので、一方的に労働契約を終了されたり解雇される事は無いです。
何故なら会社が従業員をクビにするには、厳しい条件があるからです。
だけど会社はその制度を利用して、従業員自ら退職するように仕向けて、業績悪化の人件費節減によるコスト減らしを行います。

会社が退職勧奨をしたがる理由

何故会社は、敢えて解雇では無く自ら退職を選択させる退職勧奨をしたがるのかの理由には、次のような事が考えられます。
自己都合による辞職は、基本的には労働者が選んで自由に決められます。
だけど会社が労働者を止めさせる会社の都合の解雇の場合は、生存権に関わるため様々な法律上の制限がかかっていて、容易には解雇できないようになっています。
もしも解雇したとしても客観的に合理的な理由が無ければ、その後にトラブルになる事があります。
その為に用いられる方法が、自己都合で従業員自らが辞める自己都合退職で、それをさせるために用いるのが退職勧奨です。
会社は本心では辞めろとか、退社して来ないでくれと言ったあからさまな態度を取りたいのですが、敢えて従業員のためを考えて辞めた方が君のためだという雰囲気を演出して、自ら辞めるように働きかけて行きます。

倒産間際の会社であっても中々解雇する事はできない

先ほども言いましたが、会社の都合によって解雇するには、従業員が著しく仕事が出来ない事や人員が余っている事や売り上げが落ちて経営が苦しくなる程度では、簡単に辞めさせることは出来ません。
その程度の理由でもしも解雇した場合には不当解雇で逆に無効で訴えられてしまいます。
もしも解雇するためには、会社に不利益を故意に与える横領などの犯罪やセクハラ行為で訴えられるなどの会社に対して刑法犯罪を行うなどした時に辞めさせることはできます。
でもそういったケースは、すごく少ないので倒産間際の会社であっても中々解雇する事はできません。

退職の勧奨を行ってくる手口

そしてどのように会社は、従業員自ら辞めるようにそそのかす、退職の勧奨を行ってくるのかの手口について具体的にいくつか紹介します。

●従業員を向いていない気もちにさせて行く

最もよく行われる典型的なパターンは、辞めたらどうだとか仕事に向いていないんじゃないかと従業員を咎める所から始まり、従業員を向いていない気もちにさせて行く方法です。
ずっと向いていないように言われ続けると協調性の高い人間ほどそのような気持ちになり、そうなったタイミングで優しく環境を変えて向いている会社に転職した方が君のためだとか、クビにされるより自分から辞めた方が転職先でも有利になるとかあたかもその従業員の事を考えているように錯覚させるように働きかけてきます。
余程協調性の無い人なら気にもしないのでしょうが、日本の会社は入社段階で協調性を重んじるので、転職を意識させられてしまいます。

●パワハラなどで自分から辞めたい気持ちにさせる

他にはパワハラなどを用いて、敢えて厳しく対応して従業員の居心地を悪くして、自分から辞めたい気持ちにさせる方法があります。
急に苦痛を感じるような面倒臭い仕事を大量に与えたり出来なかったら暴言で罵ったり、逆に仕事を与えないでプロジェクトチームから外したり俗に言う窓際族的に扱う事が考えられます。
不況下には大手企業で良くやられるのが、人材開発室という名前は前向きだけど、事実上のリストラ目的の追い出し部署に配属する手口が話題になりました。

●その他の手口

それ以外には、大手企業が行う手口で、探偵事務所などを使って弱みを見つけて辞めさせる外部委託方式もよくやられます。
他にも1000人以上の企業なら専属でいる産業医と共謀して、ちょっと悩みを打ち明けたら、それを口実にして精神疾患の疑いがあり休業を打診したり、酷い場合は働けないので解雇理由にしてしまう事もあります。

理不尽とも思える退職勧奨は労働者には拒否する権利がある

このように企業がやって来る理不尽とも思える退職勧奨は、労働者には拒否する権利があり、納得できなければ辞める必要は全く無いです。
その事を知らないと会社や直属のお世話になっている上司から進められたら、辞めないといけないと考える人もいるかもしれませんが、従う義務は一切ないです。
もしも少しでも理不尽と感じる退職の勧奨があったら、その理由について直接質問するべきです。
不況期に転職するのは難しくて、本当は辞めたくないと考えているならそういった勧めに惑わされない事が大切です。
そして渡された退職の勧奨を受け入れて、一度退職届にサインをしてしまったら、書類上で自己都合で退職した事になってしまいます。
だから冷静に判断して、それに耳を貸さずに断る事も必要です。

まとめ

断った事でさらにパワハラや、不当に解雇しようとしてきた場合には、そのやりとりを録音して置くなど証拠を残しておけば、逆に会社や上司に対して損害賠償請求を行う事も出来ます。